概要

メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz )は、ドイツの自動車会社、ダイムラー(2007年~)が所有する乗用車、バス、トラックのブランドである。

1926年のほとんど同時期に設立された世界最古の自動車会社である、ベンツ&シー・ライニッシェ・ガスモトーレン・ファブリーク(1883年 - 1926年)とダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(1890年 - 1926年)で1900年から使用されていた「メルセデス」を始まりとし、その後1926年の合併により、正式に「メルセデス・ベンツ」ブランドがスタートした。

以降社名はダイムラー・ベンツ(1926年 - 1998年)、ダイムラー・クライスラー(1998年 - 2007年)と変更されるも、ブランド名の変更はない。

現在もドイツ、シュトゥットガルトを拠点に、乗用車と商用車を「メルセデス・ベンツ」のブランドで展開している。

乗用車

路線バス用Conecto H日本においては、高価格帯の車種を中心に輸入するブランド戦略により高級乗用車の代名詞とも言えるイメージが定着しており、高級車専業メーカーと誤解されがちであるが、欧米ではトヨタやボルボ、ルノーなどと並んで、タクシー、バンや大型バス、トラック、ダンプカーなどの営業車・商用車、そして乗用車では高級車から大衆車まで幅広く生産する自動車総合メーカーとして認知されている。

フラッグシップであるSクラスなど高級セダンや高級SUVは、富裕層のステータス性を象徴する乗用車の一面として、日本でも医師や経営者、芸能、テレビ関係者、スポーツ選手等の高所得者が好む車の代名詞として知られている。これらの反面、マフィアや暴力団、武器商人や犯罪収益者、成金的など、畏怖やいやらしく趣味の悪いなどのイメージとして表象されることも多くある。 冷戦時代においては西側の自動車会社にもかかわらず、東側諸国の外交官の利用も多かったため、「ペルソナ・ノン・グラータ向けの車」と揶揄されることもあった。

日本で販売されている車種の新車販売価格は、約260万円台(Aクラス) - 5,700万円台(SLRマクラーレン)であり、すべてのクラスにおいて、国産車で同じ排気量を持つ車種の1.5倍以上の価格設定である。 もっとも販売台数の多い代表的な車種として、Eクラス(700万円台から)などがあり、これは日本の世帯年収の平均を超えた価格設定となっている。但し欧州では廉価なグレードも多く販売され、タクシーとしての使用をはじめ、様々な階層の所有する車種として存在している。またレクサスやインフィニティブランドなどと競合し、輸入車や舶来品などといった概念も存在しない北米では5万ドルからと割安であり、その他の車種でも日本の3分の2前後の価格設定である。

2006年の販売台数クラス別ランキング(世界)では、1位はEクラス(700万円~)、2位はSクラス、3位はCクラス、4位はBクラスである。

カー・アンド・ドライバー誌が東京・青山通りで行なっている車種別の通行数ランキングでは、カローラなどの大衆車を押さえ、Eクラスが1位の常連となっており、登録・使用本拠の地域的な偏在が大きいことも特徴となっている(社有車・社用車としての登録も多いため)。

商用車、営業車、多目的車

バンコク大量輸送公社(BMTA)バスやバン、特殊車両なども含めた商用車の主な市場は、ヨーロッパのほか、中東、アジア、中南米諸国などである。

商用バン・スプリンターや、ミニバンであるVクラスの商用バージョンVitoは様々な仕様が存在しヨーロッパ各地で使用されているほか、北米では、スプリンターがバッジエンジニアリングを受け、クライスラーから「ダッジ・スプリンター」として販売されている例がある。また、韓国の雙龍自動車への技術供与を行い、商用バンMB100をベースにイスタナを生産。MB100と共に東南アジア圏などで広く使用されている。

日本ではダイムラー子会社のバスなどを三菱ふそうトラック・バスが販売、多目的商用自動車であるウニモグをワイ・エンジニアリング株式会社が販売している。

その他

エンジンやトランスミッションを他社に供給するサプライヤーとしての一面も持っており、かつてポルシェやジャガーに自社製のATを供給した実績がある。

又、現在は日本でも日立建機が大型ダンプに、加藤製作所がオールテレーンクレーンのキャリアにメルセデス製のディーゼルエンジンを搭載している。